金. 12月 2nd, 2022

日本リスク学会長 米田 稔

2022年度日本リスク学会「学会賞」、「奨励賞」、「グッドプラクティス賞」を以下のように決定しましたのでお知らせします。

学会員からの推薦に基づき、表彰委員会での厳正な審査により選考されました。表彰式につきましては、京都大学 桂キャンパス(オンライン同時開催)で開催される「第35回日本リスク学会年次大会」の1日目(2022年11月12日(土))17時より、執り行います。なお、学会賞とグッドプラクティス賞については受賞講演が行われます。

【日本リスク学会 学会賞】
久保 英也 氏(ワールドマスターズゲームズ関西組織委員会)
●選考理由
 久保英也氏は、本学会の理事を長く務め、第16期(2018.7.1-2020.6.30)の会長を務められた。リスク学事典(2019)の編纂と出版に尽力されるとともに、コロナ禍に対しては、会長として「新型コロナウィルス感染症に関する議論の場の設定」を呼びかけ、市民と専門家とを繋ぐ場を構築された。日本リスク研究学会から日本リスク学会への名称変更という改革を行ったのも同氏であった。研究活動においても多数の著書、論文を執筆され、リスク学分野での貢献も著しい。
 以上より、学会活動及び研究実績において特に顕著な業績があると認められるため、学会賞に相応しいと考える。

【日本リスク学会 奨励賞】
清水 右郷 氏(日本学術振興会 特別研究員PD(京都大学))
●選考理由
 清水右郷氏は、科学哲学を専門として、リスク評価やリスク管理における概念的・原理的知見を哲学の切り口で広くかつ詳細に検討し、日本リスク学会や哲学関連の学術雑誌(英文を含む)への論文発表や学会発表を活発に行っている。本学会の第三期のタスクグループ「次期リスク学事典に関するタスクグループ」への参画や学会誌の編集委員への就任といった学会運営への貢献も大きい。
 以上より、今後一層の発展が期待される優秀な研究業績を挙げていると認められるため、奨励賞に相応しいと考える。

【日本リスク学会 グッドプラクティス賞】(推薦書到着順)

株式会社文響社うんこ事業部
代表 石川 文枝 氏(うんこ事業部 うんこアンバサダー)
「うんこ啓発ドリルによる低年齢層に対するリスク教育への貢献」
●選考理由
 「うんこ啓発ドリル」は、小学生による認知度が約9割とされる「うんこ先生」が登場する「うんこドリル」の啓発バージョンとして、企業、自治体、官公庁とのコラボレーションにより作成されている。これまで、「おうちの安全」「くらしの安全」「防災」「SDGs」といった、リスク学の対象とも重なる多様なテーマについて、クイズ形式の冊子体やオンラインゲームが作成されてきた。子どもにとって難しかったり、真面目で伝わりにくかったりする内容を、ユーモアと笑いを交えたコンテンツとして届けるものであり、低年齢層(波及としてその保護者層)に対するリスク教育への貢献は著しいものと言える。
 以上より、リスク学の社会実装や普及にかかる顕著な実践的活動であると認められるため、グッドプラクティス賞に相応しいと考える。なお、今後、日本リスク学会とのコラボレーションによる「リスク」の視点を伝えられるようなテーマのドリルを期待したい。

山本 孔紀 氏(埼玉大学教育学部附属中学校)
「中等教育における『リスク認知』に関する実践」
●選考理由
 山本孔紀氏は、中学校教育の中で、化学物質に対する理解を深め、社会問題の中でどのように使うべきかを説く教育プログラムを実践している。例えば、米国カルフォルニア大学バークレー校で開発されたSEPUP(Science Education for Public Understanding Program)を取り入れ、生徒が環境保全エンジニアになったとの想定で、廃液処理に伴う環境リスクに関する学習活動を実施した。そこでは、生徒自らが実験や調査を行うことで情報を集め、人や環境への影響のみならず経済性、持続可能性、法律との関わりなどの多様な観点から、自分はどう考えどう行動するかを主体的に考察することが促されている。本活動は、教育の場でのリスク教育の現状と国際的動向を踏まえつつ、初等・中等教育への「リスク教育」の導入に向けた活動に大きな示唆を与えたものと言える。また、日本学術会議主催の学術フォーラム「リスク認知と教育」で発表され、参加者からの反響も大きく、波及効果が大きいものと考えられた。
 以上より、リスク学の社会実装や普及にかかる顕著な実践的活動であると認められるため、グッドプラクティス賞に相応しいと考える。

By sraj