新型コロナウイルス感染症とメンタルヘルス対策の必要性

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ポリシーブリーフ 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とメンタルヘルス対策の必要性

2020年7⽉28⽇

日本リスク学会有志

 

 新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) が国際的に猛威を振るい、わが国においても少なからぬ感染による疾病と死亡が報じられ、人々に不安や対応施策に伴う種々の困難な課題が生じています。国内外で未だ収束の目途が明確になっておらず、健康のみならず、生活、社会、経済に甚大な影響を及ぼし、そのために不安、うつ、友人や知人からの隔離と阻外感、差別や家庭内暴力、失業、破産などの現実的な、さらにメンタルヘルスに関わる困難な事態が生じています。新型コロナウイルス問題は健康リスクだけでなく、今後の我々の生活や社会のあり方を大きく問うテーマとなりつつあり、その中で様々な困難や問題を抱え苦しまれている方々がおられ、特に子供、高齢者、働く人々、女性、医療関係者の方々に新たなメンタルヘルスの課題が生じています。
 

 私たち日本リスク学会有志は、この課題に取り組み、ともに考えるひとつの参考資料として、国際連合がこの5月に公表したポリシーブリーフ(United Nations, 13 May 2020; Policy Brief : COVID-19 and the Need for Action on Mental Health)の和訳に取り組みました。国連ポリシーブリーフとは特定の課題、その政策オプション、および最良のオプションに関する推奨事項を簡潔に要約し、政府の政策立案者や政策の作成あるいは関与に関心のある人たちを対象にした報告書です。

 

 本訳は国連 Rights and Permission office, United Nations Publications Sales and Marketing Section, UN Department of Global Communications の了承(2020 年 7 月 16 日)を受け、日本リスク学会有志グループの責任においてまとめた非公式翻訳です。この和訳文書の公開が、新型コロナウイルス感染症の影響の一つとして、メンタルヘルスに困難な問題が存在することを社会全体で共有するきっかけとなり、これに向き合っておられるすべての方々の一助となる事を強く願っています。本訳の一部を引用するときは必ず出典として、本訳文の所在と訳者文責を示してください。また断りなく全文を転用することはお断りします。

 

 なお、国連 Policy Brief の原文はこちらで見られます。またご参考まで、WHOは関連の文書を発行しており、福島県立医科大学グループの監訳による関連テーマの翻訳があることを申し添えます。

 

 
 

 

 

●国連ポリシーブリーフ「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とメンタルヘルス対応の必要性」翻訳に際して

 

 新型コロナウイルス感染拡大は早くも第2波に突入しつつあるように見える。種々の対策や予算措置がされているが必ずしも満足できる成果をあげえていない。市民(高齢者、子供、在宅勤務者、学生、教師、家庭内に閉じこもる子供を見る母親ほか)、医療関係者、失業者や経営危機に直面している方たちは、これまで経験しない新たな困難に向き合い、さまざまの不安とストレスを抱えている。私たちリスク学会有志9名は各自異なる専門分野で仕事をしているが、これまでその対策が十分語られていないコロナ禍によるメンタルヘルスへの影響と対応について、国連が5月に公表したPolicy Brief “COVID-19 and the Need for Action on Mental Health”に着目し、永く広い影響を及ぼすかも知れないこのことに学会や関係者の皆さまの関心を深め、共に考えたく願った。可能なら国内の実態を把握し、対策のあり方につき提案したく、皆様の意見と感想をお待ちする。

 

2020年7月16日 有志グループ代表 関澤 純(NPO法人食品保健科学情報交流協議会)

翻訳有志グループ参加者リスト(資料内2P)

 

 

※翻訳資料の掲載履歴

  • 2020年7月28日掲載
  • 2020年8月01日差替:翻訳者リストの記載
  • 2020年8月09日差替:翻訳者リストの修正、ほか
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