会長からのメッセージ

第17期(法人第6期)会長 村山武彦

 本学会が2010年に法人化して以来、長坂俊成、甲斐倫明、新山陽子、前田恭伸、久保英也の5名の会長のもと、事務局長として学会の運営に携わってきました。事務局長に就任した翌年の3月11日午前中に理事会が開かれ、その午後に東日本大震災が発生し、乗車していた地下鉄が緊急停止し、徒歩で自宅に戻ったことは今でも鮮明に覚えています。その後、福島第一原子力発電所の事故が顕在化し、社会がリスクを捉える視点が大きく変わっていったことは学会の活動に大きな影響をもたらしました。ほぼ10年が経過した2020年に新型コロナウィルスによる感染拡大が世界的な問題となり、社会がリスクを捉える視点が新たな転機を迎えようとしています。こうした点については、本学会が発行している学会誌である『リスク学研究』30巻2号に巻頭言としてまとめましたので、そちらを参照していただければと思います。

 これまでの事務局長としての関わりを含めて学会活動に携わってきた経験を通じて、次のような方針で望みたいと考えています。一つは、学会活動の基本部分の充実です。学会誌の定期的な発行を目指すとともに、学会としての一大イベントである年次大会の充実を図りたいと考えています。学会誌は30巻1号から全ページが電子ジャーナルに移行し、学会内外の情報発信や情報交流の重要な媒体となりました。加えて、年次大会は主として会員間の情報交流の場であることから、大会に参加した会員はもちろん、参加しなかった会員にも情報が提供できるような仕組みを進める予定です。

 次に会員サービスの充実を念頭に、学会のウェブサイトの「会員ページ」の欄を充実させるとともに、これまでのメールマガジンによる学会本部からの一方向の情報提供だけでなく、会員間の情報交換の場の開設も検討しています。こうした活動を通じて、理事会や各委員会の活動、さらにタスクグループによる特定テーマの活動が相互に連携する仕組みができていくとよいのではないかと考えています。学会活動の魅力を高めるための方策についてはアンケートを通じて会員の皆様に伺うことも検討中です。さらに、学会運営を持続可能なものとするため、これまで事務局を担当してきた経験も生かしつつ、活動の効率化を図っていきたいと考えています。

 本学会が設立された頃はリスクを扱う新聞記事やテレビニュースは極めて限られていましたが、2020年に「リスク」という語が使用された全国紙の記事やNHKニュースの数は2019年の倍以上となり、「リスク」を取り巻く社会的な状況は大きく変化しつつあります。多様な分野の「リスク」をメインテーマとする老舗学会あるべき姿について、会員の皆様とともに考えていきたいと思います。