日本リスク学会 電子ジャーナル化への移行と紙媒体(冊子体)によるご提供の中止,学会誌の名称変更について

2020年4月28日
一般社団法人 日本リスク学会 理事会

 1988年に創刊された「日本リスク研究学会誌」は、学会誌の公表形態が電子ジャーナル化(以下「電子化」)に傾く中で、紙媒体での提供を基本としつつ2010年11月に総合電子ジャーナルプラットフォーム(J-STAGE)に、発行から1年を経過した既発号から順次、オンライン公開して参りました。

 しかしながら、研究の国際化が一段と加速する中で、国際標準は、①学会誌が、国際データベースに接続されていること、②迅速な掲載と全号の即時講読が可能であることに移り変わっています。一方で、当学会は、アジア圏におけるリスク学を牽引し、国際ネットワークのハブとなる活動をよりスムーズに進められるインフラ整備も進める必要があります。

 そこで、会員の利便性の一段の向上と国際標準に適合した学会誌とするため、紙媒体の電子化について,理事会において検討を重ね、併せて2019年3月には会員の皆様からご意見を募集いたしました。ここで頂いたご意見も踏まえ、理事会としては、以下の方針で進めたいと考えています。

1.2020年度の総会にて最終確認後、フリーアクセスの電子ジャーナルへ移行することから、正会員学生会員名誉会員の皆様への冊子体の配布は中止とさせていただきます。また、賛助会員や購読会員の皆様につきましては、図書館での回覧などその必要性に鑑みオンデマンド印刷による冊子体の提供を別途行います。また、正会員、学生会員、名誉会員で冊子体を希望する方にも、ご希望により追加料金をご負担いただくことにより冊子体を提供いたします。

2.学会誌名を「日本リスク研究学会誌」から「リスク学研究」へと変更いたします。これは2019年6月の総会において学会名を「日本リスク研究学会」から「日本リスク学会」に変更したことを受けたもので、学会名の変更趣旨と同じく、日本リスク学会はリスク研究を核としつつも、その研究成果を社会実装するところまでを射程とし、リスクをめぐる研究テーマが多様化するなかで、広く学会内外からの寄稿が今後期待されることを反映したものです。

 ただ、学会誌の名称に思い入れを持たれる、また、現行名称に特別な事情を感じておられる会員の皆様もおられると推察されますので、本件につきましては、2020年6月の総会でも改めてご説明する予定にしております。

以上

【以下参考】
 2019年3月27日に会員に向けて下記の通り、電子化に関する説明と案内を行い、意見募集を行いました。いただいた主な質問・ご意見と、理事会の回答を掲載します。

【再掲】 
「日本リスク研究学会誌の電子ジャーナル化への移行と紙媒体(冊子体)によるご提供の中止」についてのご意見の募集

2019年3月27日
一般社団法人日本リスク研究学会 理事会

 1988年に創刊された「日本リスク研究学会誌」は、今日まで紙媒体で提供して参りました。一般的に学会誌の公表形態が電子ジャーナル化(以下「電子化」)に傾く中で、本学会も2010年11月に総合電子ジャーナルプラットフォーム(J-STAGE)に、発行から1年を経過した既発号から順次、オンライン公開して参りました。しかしながら、研究の国際化が加速する中で、①学会誌が、国際データベースに接続されていること、②迅速な掲載と全号の即時講読が可能であること、という2つの条件が既に、国際標準となっています。また当学会は、アジア圏においてリスク学を牽引し、国際ネットワークのハブとなる活動を開始しており、よりスムーズな活動を可能とするインフラ整備を進める必要もあります。

 そこで、会員の利便性の一段の向上と国際化に耐えうる学会誌とするため、紙媒体の「日本リスク研究学会誌」を2020年度発刊分から、電子化することを、理事会において検討しています。

 そのメリットやデメリットは以下の参考の通り、想定してはおりますが、未だ見過ごし、判断材料から漏れている事項もあるかもしれないと考えています。そこで、全会員の方々から、ご意見を拝聴し、それらを踏まえた上で、あるべき電子化の形を丁寧に構築していたいと考えております。なお、ご意見は4月末までにメールで賜りたく、学会事務局宛てにお送りください。(中略)

(1)電子化のメリット
①全世界の研究者が国際データベース(Scopus, Web of Scienceなど)に接続し、国際的なアクセスを可能とする
②「フリージャーナル」として,非会員も含めて学会誌掲載論文には期間の制約なく即時アクセスが可能
③電子化により、査読完了時から掲載までの時間短縮ができ、迅速な可能(掲載が決定したものから順に逐次柔軟に公開)
④誌面の充実と柔軟性の確保。学会誌の完全電子化により、論文のカラー化と現在の投稿ページ数基準の柔軟化が可能
⑤学会運営のコスト圧縮。電子化による印刷費、配送費の削減(年間約50万円)から、購読会員や実費で冊子体を希望される会員向けにオンデマンド印刷を行うための基本的なコスト(同約15万円)を差し引いても年間約35万円の収支改善効果

(2)デメリット
①図書館や研究所などで冊子体での提供が組織として不可欠な会員の不便(購読会員等にはオンデマンド印刷で対応可能)
②新規論文がすぐの会員外でも読めることになるので、会員になるメリットが減少するなど

これに対し、6件の意見がありました(内訳は明確な賛成3、懸念点の指摘3)。いただいた主な質問・ご意見と,理事会の回答は以下の通りです。

質問】
最大の懸念材料は、電子ジャーナルを維持するための費用を学会として継続して維持できるか否か。学会活動の維持に必要な経費は年額いくら程度の見込みか?
日本リスク学会の予算規模についてまずお答えします。学会の年間予算は500万円程度であり、学会誌発行・発送に関する費用はそのうち、220万円程度です(電子化前。JRR購入費を除く)。学会員数が減少した場合は電子ジャーナルが維持できるかという懸念はもちろん、学会が存続できるかも問題になりますので、会員の利便性をアピールし、会員確保に努めたいと思います。

【意見】
学会誌のAbstractは英文だけでなく、日本語文も記載できるよう、投稿規定を見直すべきではないか。
ありがとうございます。編集委員会と検討した結果、和文要旨の記載については現時点では見送ることとしました。理由は以下の通りです。①学会では、国際化を見据えた戦略として、英語論文の投稿が増えると期待しておりますが、英語論文でも日本語の要旨を求めることは現実的ではないと判断しました。②現在,日英対応の新システムの構築を進めておりますが,abstractの入力欄は一つという制限があり、日本語と英語の両方は同時に入力できません。その仕様の変更は難しく,新システムの稼働が遅れてしまうことを懸念しています。③和文要旨を追加する場合、半ページ程度のページ数増加が考えられます。したがって、投稿規定のページ数制限を緩め、超過料金徴収を見直す必要が生じます。現在進めている投稿規定改訂作業を全体的に見直すことになってしまい、現時点で対応は難しいと判断しました。

【意見】
年次大会での発表予稿集についても、他の学会が実施しているように、パスワードを付けた上で、Jstageで公開ができないか。
ご提案ありがとうございます。編集委員会と検討し、年会の要旨のWEB公開は、現時点では難しいと判断しました。現在、リスク学会の年会要旨はフルペーパー形式でも受け付けております。年会要旨を微修正して論文(特に資料論文)として投稿した際に、二重投稿の嫌疑が増えてしまうことが考えられる一方で、二重投稿ではないことを示すのは難しいためです。

【意見】
実費で冊子体を希望される会員向けにオンデマンド印刷を行う、ということも記載されているので選択可能にしてほしい
オンデマンド印刷の実施について,今後変更もありうるかもしれませんが,選択可能なオプションにする方向で進めたいと思います。図書館が多数を占める購読会員には冊子体を配布することとし,そのため冊子体の作成費用も見積もったところ、学会財政を圧迫しないことが分かりました(2019年3月ご案内済み)。この冊子体は、希望する個人会員にも実費で頒布することは可能です。費用は検討中ですが、現時点では1冊2000円程度になると想定しております。

【意見】
「図書館に置かれなくなる」ことと「会員になるメリットがなくなる」こと、これが新規入会にどの程度影響があるのか、議論をしてほしいと思います。
図書館への配架をしていた購読会員は、電子化を機に辞めてしまうことが考えられます。理事会でもこの点が懸念材料として挙がりました。購読会員には,これまで通り冊子体配布とし,この点をアピールすることによって継続していただく努力をいたします。
「会員になるメリット」について。ご指摘の通り、電子化後は「学会誌掲載論文には期間の制約なく即時アクセスが可能」とすると、学会員のみが享受していた「情報にいち早くアクセスできる」というメリットがなくなります。この点は、理事会での議論の結果、「査読完了時から掲載までの時間短縮ができ、迅速な公開が可能」とした方が時代に即しており、このメリットの方が大きいという結論になりました。編集委員会では査読期間の短縮と早期掲載を実現すべく努力してまいりますので、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

【意見】
デメリットの方がメリットを上回っていると考えますが、最低限、「②迅速な掲載と全号の即時講読が可能であること」という国際標準における、「迅速」期間を6カ月程度留保すべきです。学会加入者の権利を確保しなければ、民間や自治体関係者などの会員が減少し、SRAが大学教員だけの団体に陥って、現場感覚から遊離した「たこつぼ学会」となることを懸念します。
『「迅速」期間』が指しておられるものは、査読プロセスにかかる期間のことと拝察します。編集委員会では査読期間の短縮と早期掲載を実現すべく努力してまいりますので、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
「学会加入者の権利」について、民間企業や自治体に所属する会員が少ないことは理事会も危機感を持っております。このたび「日本リスク学会」と名称変更したのは、リスク研究を、研究に留めておくのではなく社会実装につなげるという思いの表れでもあります。学会誌電子化および論文アクセス性の向上は、民間企業や自治体関係者の会員増強の手段の一つになると、理事会では考えております。

日本リスク学会第17期役員選挙候補者について

2月10日に公示いたしました「日本リスク学会第17期(法人第6期:2020年6月~2022年6月)役員選挙」につきまして、立候補申請書/推薦書を開示いたします。

<令和2年度 日本リスク学会役員選挙 理事立候補者>(番号.氏名、所属)

1.小野恭子、産業技術総合研究所
2.藤井健吉、花王株式会社安全性科学研究所
3.上野雄史、静岡県立大学
4.前田祐治、関西学院大学
5.竹田宜人、北海道大学
6.米田 稔、京都大学
7.岸本充生、大阪大学
8.蒲生昌志、産業技術総合研究所
9.村山武彦、東京工業大学
10.村上道夫、福島県立医科大学
11.菅原慎悦、関西大学
12.李 泰榮、防災科学技術研究所

<令和2年度 日本リスク学会役員選挙 監事候補者>(番号.氏名、所属、職名)
1.片谷教孝、桜美林大学リベラルアーツ学群、教授
2.近本一彦、日本エヌ・ユー・エス株式会社、代表取締役社長

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